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絶対音感を考える・最終回

遅くなってしまいました。
早くしないとあやうく結論を書かずに終わってしまいそうなので最終回!と銘打って頑張って書いてしまします。

今までのお話。
その1
その2

さて、最後です。
「絶対音感とは何か」の(私なりの)結論を出そうと思います。

それまで、絶対音感とは「聴いた音の音名がわかる」ものだと思っていました。
それが楽音(楽器から発せられた音)であっても、生活音であっても「この音はド」と言えるのが絶対音感である、と。
でも、
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を読んで、考えを改めることができました。

絶対音感の能力は音名だけにあるのではなく、「調の区別」にも発揮される。

これが、絶対音感の能力の本質ではないでしょうか。


絶対音感のある人にとって、あらゆる音、あらゆる調は、質的に異なり、それぞれに独自の「味」や「感じ」、独自があるように感じるのだ。(中略)絶対音感のある人が「よく知っている楽曲がちがう調で演奏されているのを聴くと、たいていの場合、いら立ちや不安を感じる…それがどんな感じかを理解するには、一時的に視覚作用がおかしくなったせいで、青果店のバナナがみんなオレンジ色に、レタスが黄色に、リンゴが紫色に見えるところを想像してほしい」



友人で、絶対音感を持つ音楽家がいるのですが、(彼女は生活音もすべて音に聞こえ、音名にできる)聴いた曲の調名に関しても鋭敏な感覚を持っています。

そして、「絶対音感は音楽家にとってもそれほど重要とは限らない。モーツァルトにはあったが、ワーグナーやシューマンにはなかった」とあります。

これを読んで、
絶対音感の能力が「調の区別」にあるのなら、作品によって作曲家が絶対音感を持っていたか推測できるのでは?
という考えがひらめきました。
調べてみると

ベートーヴェン
ベートーヴェンの選んだハ短調という調性はベートーヴェンにとって特別な意味を持つ調性であるといわれ、それらの作品はみな嵐のようでかつ英雄的な曲調という共通点を持つといわれる。有名な例としてはピアノソナタ第8番「悲愴」、ピアノソナタ第32番、ピアノ協奏曲第3番、弦楽四重奏曲第4番、ヴァイオリンソナタ第7番、序曲「コリオラン」、交響曲第3番「英雄」の葬送行進曲などがある。(ウィキペディア)

モーツァルト
絶対音感を持っていると思われる著名人の代表例として、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトがよく挙げられる。幼い頃より厳しい音楽教育を受けており、14歳の頃、二度聴いただけの門外不出のグレゴリオ・アレグリの《ミゼレーレ》を正確に楽譜に書き起こしたことから、絶対音感があったのではないかといわれている。しかし、モーツァルトの時代には既に精度の高い音叉は存在していたものの、基準ピッチが各地方、各家でまちまちであった。実際に彼の音感がどういった精度や性質のものであったかは定かではない。(ウィキペディア)

とあります。
私は、絶対音感が調性を含むものであれば、このことで彼に「絶対音感はあった」と言えるのではないかと思います。
というのは、もし「音名」だけわかる、のは例えると「円周率の丸覚え」のように、記憶力の問題になります。
意味のない「数字の羅列」のように「ドソラソファミレド・・・・」などと、最後は9声にまでなって終わるという曲を聴音し、記憶するには「調性感」の助けなしでは不可能と感じるからです。
調性感は言葉を文章にして長文にし、記憶しやすくなるように、音をつなげて記憶する助けになります。

秘曲:アレグリの ミゼレーレ



そして、最後にシューベルトに絶対音感はあったのか?という疑問が起こりました。
なぜかというと、「ドイツリート」などは声楽家の歌手の音域に合わせて移調することが多いのです。
シューベルトはあれだけのリートを作曲したのだから、移調され、歌われた曲を聴いていたのか、また、そういうつもりであったのか、疑問に思いました。

そこで、
「シューベルトは歌手による移調を想定して曲を作曲していたのか?」
をメゾソプラノ歌手の友人に聞いてみました。

彼女いわく、
シューベルトが活躍していた頃、「シューベルティアーデ」という彼を囲む私的な少人数の集まりがよく開かれていた。
そこではシューベルト自身のピアノ演奏、歌曲、器楽曲あるいはそれに合わせたダンスなどを皆で楽しむ集いであった。
そこで歌曲を歌っていた歌手が誰であったかは、研究科によって現在ほぼ明らかになっている。
「誰が歌うか」を知って書いていたのなら、作曲時に声域に合わせ、調を決めることはある程度できたのではないか。
しかし、同じ人でもその日の体調によって移調した可能性は残る。

とのこと。
もう少し調べてみると


「自作のリートをいつも自分で歌わなければならなかったシューベルトは、しばしば彼のリートのための歌手を見出したいという大きな欲求を表明し、宮廷オペラ歌手フォーグルと知り合いたいという彼の昔からの願望はますます激しいものとなった。――そこで我々のグループではなんとかシューベルトの希望に沿うよう行動しようということになった。フォーグルがとても人付き合いの悪い人だったので、この課題は困難なものであったが、宮廷劇場と幾分かの伝手があったショーバーを軸に動き、二人の対面が実現した。
 その日、フォーグルは遅れてやってきて、どぎまぎしながら挨拶したシューベルトに対し、明らかに不遜な態度をとった。ところが楽譜を渡され歌ってみた彼は、即座に態度を変える。これらのリートが彼に与えた印象は圧倒的なもので、今度は促されずに彼のほうから我々のグループに近づき、シューベルトを自宅に呼んで一緒にリートを研究するようになった。
 彼の歌唱が我々とシューベルト自身と聴衆のあらゆる人々に与えた厖大な圧倒的な感動を目にして、彼自身これらのリートに非常に感激し、彼自身シューベルトの最も熱烈な崇拝者になった。」

「シューベルトの歌曲作品は、ほとんどフォーグル先生に目を通してもらっており、忠告ならばすぐにとても喜んで受け入れたものです。
シューベルトがある日の朝、何曲かのリートを持って、検閲してもらいに、フォーグルを訪れました。そのときフォーグルはとても忙しかったため、シューベルトは楽譜を預けて帰りました。その半月ほどあと、シューベルトは再度フォーグル宅を訪れました。そのとき、預けた中の一曲が、フォーグルが自分の声域に合うように低い調に移調させたため、写譜者の筆跡で書き写されていました。これはフォーグル自身が私に語ってくれたことです。」(カルル・フォン・シェーンシュタイン男爵)
 このシェーンシュタイン男爵の記述は注目に値する。ここからは、シューベルトの歌曲をフォーグルが自分の声域に合うように移調し、写譜屋に書かせていた事実が浮かび上がってくる。(クラシック 未知との遭遇より)


また、晩年に作曲された4つの即興曲(ピアノ独奏)では、
おおむね三部形式であるが調性が不安定で、原調に解決ないまま終わっている作品が多い。第3曲 出版時は出版業者の意向でト長調に移調されていた。(ウィキペディア)


とあります。
絶対音感が「音名」だけではなく、「調性」も含め、調性が変わると「今までの見えていた色が変化するほど居心地悪くなる」事が本当ならば、作曲家として生前から移調された曲を聴いていたシューベルトは、調性に無頓着であった、とは言いませんが、部分的にはあったにしろ、完璧に絶対音感を持っていた人物かどうかは疑わしいのではないか、と推測します。
しかし、それがシューベルトのリートやそのほかの作品の我々に与えてくれる感動の差として出るでしょうか?
結局は絶対音楽の能力を持っていたかはわかりませんが、彼の音楽の素晴らしさは200年近くたった今でもゆるぎないものです。

冬の旅:24. 辻音楽師 Der Leierman(最終曲)
シューベルトはこの曲を、ロ短調(h-moll) で作曲し、前奏に複前打音を使用していました。ファクシミリ譜の上の方に出版者ハスリンガーの手書きで、大きく"in a-mol" (正しい綴りはa-moll) と書かれています。楽譜はイ短調(a-moll) となり、前打音は1つだけになって出版されました。
シューベルトの作曲した"Der Leiermann" は転調せず、最後まで同じ調で歌われます。「転調しないこと」が重要なのです。( 渡辺美奈子「辻音楽師(ハーディ・ガーディ弾き)ヴィルヘルム・ミュラー 」2004)




さて、これで絶対音感を考えるシリーズを終わります。
いつか時間があれば「絶対音感を習得するには」も書こうと思いますが、言語習得と脳領域のお話となるので別の機会に。

そして、最後にもう一度。
絶対音感は大音楽家になるための絶対条件ではありません。
ある意味、音楽を鍛錬する上での人によっては習得する追加能力、と言えると思います。
「絶対音感」は大きな才能ではありますが、音楽を構築する一つの要素であり、本質ではないので、ほかの部分を補う才能と努力がない限り、「絶対音感」だけでは音楽として成り立つことはありません。




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